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梅田で働く不動産屋の日記

塩井の失敗談㉚ ~事業用賃貸借契約の重説に関して~

2024-10-21

こんにちは、バイリンク株式会社の塩井です。

今回は久しぶりに失敗談について語りたいと思います。


皆さん自分が貸主側の際、重要事項説明書を細かく見ていますか。

 

今回あった失敗談は私が半年前くらいに仕入れた物件で起こったのですが、設備に関して契約書上は「事業用の不動産の為、現状有姿の引き渡しであり設備関係の保証はしません」という旨の特約を記載していました。しかし重説の設備欄にはトイレや空調などにチェックが入っており、物件引き渡し後数ヶ月経ってからトイレの入れ替えや網戸の張替、壁の補修などを賃借人から主張されてしまうという事態がありました。

 

本来重説の位置付けは、賃借人と仲介会社との契約書類であり貸主は直接関与していないのですが、不動産に詳しくない賃借人からすればそんなこと関係ないですし、書類に設備として書いてあるやんと言われれば少なくとも何かしらのトラブルに発展するのは間違いないですね。「貸主として契約書のドラフトを事前に送っているのに契約書上の特約と矛盾した重説を作成して借主に説明した仲介の責任やん」と言うのは簡単ですが、プロである以上それは怠慢だと思います。

 

しかしここには業界の慣習故の矛盾と言いますか、ええ加減さもあると個人的には感じています。今回の件が起こった際に、リーシング担当の者に仲介が作成した重説の確認を事前にしなかったのかヒアリングしたところ、弊社が貸主の物件の場合はいつも契約書を送った後に印鑑を付いた契約書と重説が返ってくるので、返送されるまで基本見ていないと回答がありました。

 

業務フローで言うと、①契約書のドラフトを仲介に送る→②仲介が契約書を確認後重説を作成→③重説を賃借人に説明→④契約書・重説に署名捺印→⑤弊社に返送、という流れなので普段弊社が貸主の時は重説を見るのが署名捺印した後ということです。

 

くどいですがあくまで重説は仲介と賃借人とのやりとりの書類であり、実際貸主と賃借人の直接契約の際は重説は必要ないという点を考慮すると上記フローでも厳密に言えば問題ないとは思うんですが、トラブルの原因になることには間違いありません。仲介が非常に優秀でミスなく作成してくれるなら良いと思うんですが、人間なのでミスもありますし、契約書の特約の行間と言いますか、本来の意図を間違えて重説に落とし込まれてしまう可能性もあるので私としては必ず重説のドラフトも確認したいところです。

 

私は売買畑でずっと来たので、そもそも重説を確認しないという慣習が理解出来ませんが事業用の賃貸営業歴の長い矢田さんに確認したところ「重説のドラフトを事前に送ってくる仲介なんて10件中2件くらいでくらいやで」と回答があり、そういう慣習なんかと疑問に思った次第です。矢田さんは経験上そういったことがあるので、仲介に任せず基本重説も契約書も全部自分で作成しているそうです。トラブルの原因、ミスを事前に絶対防ぐという姿勢に尊敬を覚えます。

 

気になるととことん腑に落ちるまで調べたくなる性格なので、他の営業にも弊社貸主物件の賃貸付けが決まった際に重説を事前に確認しているかヒアリングしたところ、そもそも重説のドラフトを送ってくる仲介が少ないのであくまで見るのは署名捺印された後とのことでした。

 

「これ絶対過去の貸主物件で契約書には設備保証しないて書いているのに、重説の設備欄チェック付いてるやつとか、特約の内容重説と契約書でバッティングしているやつあるやろ」と疑心暗鬼になりましたが、今後はその辺もしっかりチェックする必要があると感じます。

 

特に事業用に不慣れな仲介会社が多い中これは良くないと思いますね。弊社の物件は意外と事業用メインではなく、住居メインの仲介業者様が付けてくれることも多いので尚更しっかり確認する必要があると感じます。

 

賃借人からすれば関係ないですからね。法的な責任は仲介になるのかもしれませんが、貸主が宅建業者ならプロなわけですし、何でもかんでも仲介の責任というのはダサいですね。

 

今回は「貸主は関係ないし、そういう慣習やし」という感情、怠惰から起こるトラブルを題に書いてみましたが、こういったことは全て「これが当たり前だという慣習や思い込み」から起こるものなので、常に疑問を持つ姿勢は大切ですね。この題も私が売買メインの営業だから疑問に感じましたが、賃貸歴が長ければそんなもんだろうと流していたかもしれません。

 

これは全ての業務に通ずる教訓なので、プロである以上多くの視点からトラブルを誘発しないよう慎重に業務に取り組みたいものです。

 

 

 

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ページ作成日2024-10-21

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