社長ブログ
分散投資の落とし穴
2025-11-10
<分散投資の落とし穴>
分散投資という考え方があります。何か投資をする時にひとつの物事に集中するのではなく、お金だけではなく時間やエネルギーも含めた資源を分散させる事によって失敗した時のリスクを下げようとする概念です。
投資業界の有名な言葉で卵をひとつのかごに入れるなとか、ポートフォリオという言葉が使われ出したのもリスク分散というコンセプトから始まっています。
世の中では分散投資は良い事、という様な風潮がありますが果たして分散投資は良い事なのでしょうか?私は良い事だとは思いません。
もちろんケースバイケースです。分散投資が良い場面もあるでしょうし、結果的に資源を分散した方が良かったという状況もありますが、それでもやはりほとんどの人、ほとんどの場面で分散投資は悪手であると言えます。
例えば元々お金持ちでこれ以上資産を増やす気は無いとか、現状維持に強いこだわりがある場合は分散投資で良いと思います。足るを知るというのはとても素晴らしい美徳でもあります。
しかし、今以上に資産を増やしたいとか何かしらの成果を出したい、他人や他社との競争に勝ちたい場合に有効なのは分散投資ではなくその逆の集中投資です。現在貧乏であるとか女性にモテなくて困っている場合等、ヘボい自分に嫌気が差している男性(女性もそうかも)や自分を変えたい、出世したいと思っている人にとっては特にそうですが、限りある資源(金、時間、エネルギー)はひとつの事に集中させる事が有効です。
本人が望む望まないに関わらず、私達が生きている社会は熾烈な競争の上に成り立っています。既に勝ち組のポジションにいる少数の強者は別として、現在競争に参加している人、競争に勝つ必要がある人がパワーを分散させてしまうとどこでも勝てずに相対的に転落していってしまうのです。
分散投資というのは本質的に消極的な発想なのです。積極的に勝ちに行くのではなく、負けない事を優先する発想です。もちろんそれがワークする場面もありますが、例外的である事は否めません。ほとんどの場面、リスクが高そうに見えるシーンであればあるほど攻撃は最大の防御なのです。
例えば、資格の勉強をするとします。我々は本業が不動産業ですから必要な資格、確実にプラスになる資格と言えば宅地建物取引士でしょう。この資格を取得するための努力する事は素晴らしい事です。しかし、もし落ちたらどうしよう?あるいは不動産業で食えなくなってきた時のために、他の業種に転職しやすくなる資格も取っておこう、と考える事は分散投資の考え方です。
一日2時間の勉強時間全てを宅建の勉強に使う人、30分は別の資格の勉強に使う人がいると、宅建に受かるのは前者です。
副業もそうです。本業の市場規模が減ってきたり、勤めている会社の業績が悪くなった時に収入が下がります。その時のために本業とは別の収入の柱を作りたいと考える人、多いと思います。そこで土日や平日の夜等に副業の勉強や副業を始めるのです。なんとなく前向きな感じもしなくは無いですが、その時間やエネルギーを本業と直接関係のあるものに振り分けるとどうでしょうか?おそらく会社の中でも頭ひとつ抜きん出た存在になるでしょう。社内外の競争に勝っていけば収入は足し算ではなく複利で上昇していきますので、効果という意味でも効率という意味でも集中投資に分があります。
では本当に業界の市場が縮小したり会社の業績が悪くなった時はどうでしょうか。実はそれでも分散投資は悪手です。市場縮小あるいは消失した場合でも本業1本で全力投球してきた人は社会的にニーズがあるのです。鮨1本で頑張ってきた人は他の和食屋でもあるいは洋食屋でも欲しい人材です。しかし職場や業界をコロコロ変えてきた人はどこでも不要ですね。縮小する市場の中で順位を上げていけば拡大する市場の低順位よりも有利かもしれませんし、会社の業績が悪化してもその中で活躍する事が出来れば次の道(選択肢)が自然と浮かび上がってくるのです。
逆説的ですが、世界を股にかけて活躍したい、世界的な仕事をしたいと思うならばただ単に海外旅行に行ったり英語が喋れるだけでは不十分です。広い世界で活躍するならば、狭い世界で特殊な技術を身に付ける必要があります。特殊な技術と言っても難しく考える必要はありません。今私達が住んでいる世界は地球上のほとんどの人から見れば十分特殊だからです。目の前の仕事に集中して取り組んだり、置かれた場所で咲く努力をする人は結果的に特殊な技術と共に広い世界への切符を手にします。
余談ですが、本業に関係無い資格や一貫性の無いキャリアを沢山持っている人は当社の採用面接では受かりにくい傾向にあります。いわゆる資格マニアや分散投資家は低評価なのです。人材採用も需要と供給ですからニーズのある人材になるためにはどう考えても集中投資です。レストランで10年、料理以外は知りません?良いではないですか。
あまり長くなると読みにくいのでこのあたりで終わろうと思いますが、スポーツや技術の世界でも異性とのお付き合いでも何でも一緒です。(2股とか3股とか言ってイキっている間は中々良い相手と付き合えません。)
道を切り開くのは分散投資ではありませんので、まずは狭くて鋭利な人間になりましょう。一点突破こそ唯一にして最強の手段です。

