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不動産投資ア・ラ・カルト
賃貸契約における融資特約
店舗系の不動産を扱っていると、時々、融資利用に関する停止条件を付けて欲しいと賃借人(出店希望者)から言われる事があります。いわゆる融資特約です。
出店の際のイニシャルコストを融資によって調達したい場合にこういうケースがあります。
イニシャルコストは不動産賃貸にかかる敷金礼金や仲介手数料も含みますが、その大部分は改装費用です。
一般的に飲食店の場合、居抜きを除くと改装費用は坪あたり50万円〜60万円前後、物販店や事務所の場合だと坪15万円〜20万円前後でしょうか。決して安い金額ではありません。
一番多いのは法人ではなく、個人の方が新規開業する場合に日本政策金融公庫で融資を受けるケースです。
面積20坪未満、賃料20万円未満、位の規模だと個人事業主からの申込みが大半ですので融資特約の希望を言われる事はよくあるのですが、普通に融資特約の契約をしてしまうと1ヶ月や2ヶ月待たされて、融資が下りなければ白紙解約です。その間は賃料も入りませんし、他の申込みを受けるわけにも行きませんので、もしも白紙解約になってしまうと大きな機会損失になってしまいます。
しかし融資が下りなければ物件を改装する事が出来ませんし、お店を営業する事が出来ませんので、テナントさん側の事情も無視出来ません。(しかもこういうケースは物件によってはよくあります。)
唯一の正解があるわけではありませんし、実際のところケースバイケースなのですが、私が多くの場合よくやる手法は手付金を賃料の1ヶ月分ないし2ヶ月分頂いて、融資が下りない場合は白紙解約ではなく手付流しにしてもらう契約です。
融資が下りない場合、と一口に言っても色んなケースがありまして、条件付きで承認が下りる場合もよくあります。例えば連帯保証人を付ければオッケー、とか実家を担保にすればオッケー、希望額の7割なら承認、等です。そういう条件付きの承認が出た際にノンペナルティで解約が出来るならどうでしょうか?
無理して話を進めなくても良い様な気がしますよね。
でも手付金を1ヶ月分とか2ヶ月分とか入れてる場合なら、少し位なら頑張ろうと思うと思います。要はコミットの問題です。貸主側としてその間は他の申込みを受けない、その間の賃料はとらない、というコミットをしているのですから、賃借人側としてもリスクがゼロというのはフェアではありませんし、なんらかのコミットをしてもらってお互いに取引が成り立つために努力しよう、というのがこの契約の考え方です。
しかも飲食店等の新規開業資金融資は今まで真面目にお仕事されてきた方であれば感覚的には8割ほどの方がほぼ希望通りの融資を受けれますので、借主さんにもある程度のコミットをしてもらえるなら停止条件を付けるリスクはそれほど高くはありません。(その業界での経験年数が長いと融資が下りる可能性が高いですね。)
覚書を作成したり、契約書の中に特約を盛り込んだり、なんだか大げさな感じもしますけど、こういった多少イレギュラーな商談をきっちりまとめていけるかどうかで、長期的な運用成績はかなり変わってきます。しっかり押さえていきたい部分ですね。
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